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第5話 『最初の嘘、最後の言葉』 【前編】

2007/04/21 13:11
「それにしても…」

色とりどりの薔薇が咲き誇る屋敷まで続く花道を歩きながら、アスランは呆れた表情で呟いた。

「なんでお前たちまでついて来るんだ?」

その美しくも繊細な城の外見から「白亜の城」と呼ばれ親しまれているこの城にラクスは住んでいる。
そこにアスランは今向かっているのだ。
そんな花に溢れた道を歩く中、厳しい格好をした騎士を2人も連れたアスランは確かにどこか不似合いだ。

「まぁまぁそう言うなって!イザークがどうしてもって言うから俺は仕方なくだな…」

「ふんっ!貴様だけだとラクス様の前で何を言うか分からんからな!わざわざこの俺が出向いてやったんだ。」

いつも通りの傲慢なイザークの言いようにアスランは苦笑を浮かべてディアッカを見遣る。
するとディアッカは何もかも心得たように肩を竦めた。

「さぁ、さっさと先に進め。きっと・・待っておられる。」

「あぁ。」



そうして3人は城の中へと足を進めた。







第5話『最初の嘘、最後の言葉』




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第4話 『足掻き』 【後編2】

2007/04/15 21:48

この結婚はただの『義務』

それがカガリにはとてつもなく重い鎖のような言葉に思われた。






足が、手が、無意識に震える。



「・・分かりました。」

この搾り出したような了承の一言がこのときのカガリにはひどく重く感じられた。
それと同時にこの世界の何もかもが馬鹿馬鹿しく感じられもした。


「そうか。では今日は明日のためにも早く休みなさい。
明日は大事な式典があるのは知っているだろう?」

先程のやり取りが何の意味も無かったかのように平然と明日の予定を述べるウズミにカガリはまた、
体温がぐっと下がるのを感じる。


「…そうですか。では、明日のためにも今日はもう下がらせていただきます。」

「あぁ、そうしなさい。」

目も合わさないで言われる。

「では、失礼致します。」

そう感情のない声音で言ってカガリは扉の方へとその足を進める。
しかし、それは長くは続かなかった。




「…カガリ?」

急に止まってこちらを振り返ったカガリを見、ウズミは不審そうに眉をひそめた。
しかしカガリはウズミの言うことなど全く耳に入っていないかのように玉座の奥の壁に飾ってある宝剣の方にすたすたと向かって行く。
そうしてその剣を手に取り、感触を確かめるような動作をし、そのまま構えるようにして剣の柄をぎゅっと握った。
そして、すらりと鞘から金無垢の剣を取り出すなり、カガリは自分の髪を無造作に引っつかみ、ざっくりと切った。





静寂の中、ただ髪を切る音だけが聞こえる。
ベルベットの深紅の絨毯の上にカガリの金髪がはらはらと落ちてゆく。
その2つの相対する色合いは大変美しかったが、そんなことに目を留めるものは誰もいなかった。



大方全体の髪を切り終えるとカガリは剣を鞘にしまい、臣下の礼をとって言った。



「短髪の姫がいるようでしたら、また声をおかけ下さい。でも…ザフトの国はどうでしょうね、お父様。」




そう言って清清しいとさえ言える笑みを浮かべて、カガリは謁見の間から出て行った。



一度も振り返らず去っていったその背中はとても姫とは思えないくらい逞しく、
ウズミはまるで重病人のような表情でとてつもなく重いため息を吐いた。










2006.10.23.Monday 3:55

第4話 『足掻き』 【後編】

2007/04/13 00:07
周りが私とキラとの結婚を頻繁に噂しているのは知っていた。
それは召使いたちの悪意のない噂や令嬢たちの嫉妬の視線、あるいはアサギたちのからかいから。
けれどキラの気持ちなど意識することはなかったし、むしろ手のかかる弟のように思っていた。




この気持ちが恋に変わるなんてこと、本当にあるのだろうか?



そんなことなど一生ありえない、心のどこかで思っている。




そんな・・気がした。






第4話 『足掻き』 【後編】





ぼんやりと先程のやり取りを思い返している内に、いつの間にか謁見の間に来ていたらしい。

まだ若い女官が僅かに緊張した面持ちで令をし、両側から把手に手を掛ける。
重圧な趣きある音と共に完全に扉が開かれるのを待ち、カガリはゆっくりとその1歩を踏み出した。




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第4話 『足掻き』 【中編4】

2007/04/12 23:39



カガリが部屋を出た後、その足音が完全に遠ざかるのを待ち、キラは口を開いた。

「どういうこと…?」

さっきとうって変わった冷たい底冷えするような声にフレイは小さく身体を震わせる。
こつこつとこちらの方へ近づいてくる靴音だけが部屋に高く響いた。

「ねぇ、一体君は何を言おうとしていたの?フレイ」

青年というより少年のような無邪気な笑みを張り付かせて笑うキラは一見、とても親しみやすく見える。
しかし、その口調はどこまでも重く、冷たいものでフレイはどこかぞっとするのを感じた。
けれど、そんな気持ちを押し殺し、余裕の表情をつくって答える。

「別になんでもないわ。あんたが言えないことを言ってあげただけのことよ。」

「僕は君に『余計なことを言うな』と言った。それをフレイは覚えている?」

「…えぇ。覚えてるわ。だからこそ言ったのよ。」

キラの冷めた視線にむっとし、フレイは強い調子で答えた。

「何…言ってるの。」

少し顔を歪めて、不快そうに言うキラにフレイは思わず熱くなる。

「あんたこそ何してるのよ!!なんでカガリがザフトの王子と結婚だなんて…!」

「国王が決めたことだもの。僕がそれに逆らってどうなるっていうの?それとも…フレイは僕に反逆罪で死ねとでも言う気?」

薄笑いを浮かべて揶揄するように言うキラにフレイはかっとなって叫んだ。

「ふざけないで!!!!!」

それでも尚、感情を表に表さないキラにフレイは重ねて言う。

「あんた、ずっとカガリが好きだったんでしょうっ!?なのにここで諦めるの!?何もせずに…気持ちも伝えもせずに!!」

それでも沈黙を守るキラにフレイは見下すような視線で見つめてさらに言った。

「はっ、何よ。自分の気持ちを知られるのが恐い?拒絶されるのが恐いの?
それとも今の温い関係がお好みなのかしらね。
結局あんたはカガリより自分が大切なのよ。ねぇ、臆病者のキラ様?」

そこまで言われてさすがに頭にきたのか、キラは怒りを露わにして、凄むようにフレイを睨んで言う。

「…うるさい。フレイに、フレイなんかに僕の気持ちが分かるの?」

「分かるわよ!!」

頭ごなしに怒鳴るフレイに反論しようとキラは俯いていた顔を上げる。
すると、静かに涙を流すフレイの顔が見えた。

「私が…何年あんたを、あんた達を、どんな気持ちで見つめてきたと思っ、思って…」

しゃくりあげながらも一生懸命続きを言おうとしているその姿に、キラははっとなる。
そして気付いた瞬間、キラはフレイを抱きしめていた。
思わず抱きしめてしまうほど、それくらい傷ついた表情でフレイは泣いていた。


「ごめん…フレイ、ごめん……」


繰り返し謝るキラに、フレイはただいやいやをするように首を振って答える。
それでも、フレイの泣き声がおさまるまでキラはひたすらごめん、と繰り返した。

しかしフレイにとって、その温もりが何よりの慰めとなっていたことにキラは最後まで気付かなかった。














2006.8.29.Tuesday 23:10

第4話 足掻き 【中編3】

2007/02/02 18:02

「なんのことだ?」

逃れられないと分かっていてもつい自らの口から出た嘘にカガリは内心溜息を吐いた。
案の定、フレイは「馬鹿にしないで」と口にする。

「何年の付き合いだと思ってるのよ。」

「…10年。」

「そんなこと、わざわざ正直に答えなくてもいいわ。それより…なんで嘘吐いたの?そんなに私が信じられない?」

心なしか寂しそうな目で見つめられ、カガリは必死になってそれを否定した。

「違う!」

いきなり強く響いたカガリの言葉にフレイは一瞬驚いた。

「そうじゃ…ないんだ。」

いつも人の目を真っ直ぐに見て話すカガリが思い切り自分から目を背け、つらそうな表情をしている。
その状況にフレイは少しだけ罪悪感を感じた。
しかし、譲れない事情があるのも事実。

「分かったわ、この際その話はおいておきましょう。私が聞きたいのは1つだけだから。カガリは…キラのことが好き?」

「好き、だぞ?」

あまりにも早い即答にフレイは少し眉を顰めてさらに問う。

「じゃあ男としては?」

「男?」

「そう、男。」

小さい子供に優しく噛み砕いて教えるようにフレイは言った。

「それは…分からない。だって、そういうふうに考えたことはなかったから。」

「じゃあ好きじゃないの?」

畳み掛けるように次々言われる追求の言葉にカガリはむきになったように答えた。

「だっ、だから…分からないって言ってるだろ!?」

そんなカガリにフレイはただただ嘆息した。

「カガリは何もかも分からないのね。今まで、何も見ていなかったわけでもないのに。ただ気付きたくないから目を逸らしているだけなのね。」

「フレイ?」

急に妙に冷たく変わったフレイの態度にカガリは戸惑う。
今まで向けられたことのない、どこか…そう嫉妬が篭ったような視線。

「ねぇ、カガリ、あんたキラの気持ちを考えたことあるの?あの人がこれまでどんな思いであんたを見ていたのか…意識したこと、ある?」

非難じみた目で見つめられ、カガリは息が完全に詰まってしまうのを感じた。

「キラが一体どんな気持ちで……!」



「フレイ」


急にどこからか聞こえてきた男の声に激昂していたフレイの声がぴたりと止まる。
そろそろと視線を移すといつの間に入ってきたのか、扉に手を掛け、悠然と微笑むキラの姿があった。

「キラ…」

些か気まずそうにこの争いの原因の男を見、カガリは呟く。
それにキラは当たり障りのない笑みを浮かべて答える。

「カガリ、国王様がお呼びだよ。今すぐ来るようにって。」

「でも今フレイと大事な話をして…!」

「カガリ、行って。私のことは気にしないでいいから。」

「でも…!」

「いいから、行って。ね?」

張り付いたような笑いを口に浮かべてフレイが言うのに、カガリは何も言う術を持たなかった。

「じゃあ、また後で。必ず、な。」

心の底から名残惜しそうに言うカガリにフレイは一瞬はっとなる。
そして、今度は本当に笑みを浮かべて答える。

「えぇ。待っているから。」

「うん、じゃあ行ってくる。」

そう言って、カガリは扉を閉めた。
フレイの最後の本当の笑みは、いつもと変わらず、とても美しかったけれど。

やっぱりどこか、傷ついた笑みだった。










2006.8.22.16:52 Wednesday
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