スポンサーサイト

--/--/-- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

恋病

2007/04/22 16:17



「ぐちゃぐちゃに溶けてしまえばいいのに。」


「…え?」


情事の後の寝乱れたシーツの上で唐突にぽつりと零したカガリに
生暖かい空気の中、まどろんでいたアスランは一気に現実に戻されたようになる。
カガリの方をゆっくりと見遣ると、まるで決して捕らえる事のできない光を求めるかのように天井に真っ直ぐ片方の手を伸ばすカガリが見えた。

「アスランと私の身体、みんな溶け合って一緒になってしまえばいいのにな。そしたら…」

「そしたら?」

言いながら身体を寄せ、手を絡めてきたアスランにカガリは微笑みながら世界で一番素晴らしい提案を掲げるように言った。

「ずっと一緒にいられるのに。引き離そうとしてもできないんだ。」

「うん?」

「だって私たちは『ひとつ』だから。ひとつじゃないと生きていけないから。」

「いいな。それ。」

「いいだろ。」

そう言い合ってギュッと手を握る。
微かに汗ばんだ手のひらが心地いい。



「でもカガリ、」

「なんだ?」

「一緒になったらこういうことももうできないんだぞ?」

言いながら頬に口付けされて、カガリはそのくすぐったさに目を瞑る。
この白桃のような肌に触れられなくなるのはとても寂しい気がした。

「で、でも私は…キスよりアスランが傍に居てくれたほうが何倍もいい。」


動揺しながらもほんのりと頬を染め、一生懸命反論するカガリがたまらなく愛しくて。
アスランは少し眉を下げたまま、微かな笑いを浮かべながら言う。

「…それ、俺を生殺しにする気か?」


数秒の空白の後、ふふっと極上の笑みを浮かべたカガリは今まで見たことがないほど大人の『女』の顔をしていた。






ひとしきり笑って、その指を一本一本絡みなおして、再び2人は何も言わずその両の手を見つめ続けた。








ぐちゃぐちゃに、全部混ざり合ってしまえばいいのに。

どろどろに、何もかも溶けてしまえばいいのに。





そしたらもう、離れることなどできやしないのに。







2006年09月15日(Fri)22時12分
スポンサーサイト

君に囚われて

2007/04/21 12:59


いつだって、君は笑ってた。


でも、いつだって君はどこか寂しそうだったんだ。







『君に囚われて』






「アスラン」

呼ばれて、反射的に振り返る。
すると、驚くほど近くにラクスの顔があった。
ミーアにそっくりな顔と声に戸惑いを隠せなくて、アスランは思わず目を背ける。
しかし、それはラクスを傷つける行為だと気付き、アスランは一瞬はっとなる。
が、ラクスは全く気にしていないというように微笑んで続けた。

「やっぱり、おつらいですか?ミーアさんを亡くして。」

そう言って、微笑を浮かべる彼女はまるで天使のようで、悪魔のようでもあった。

「…えぇ。」

長い時間をかけてそう呟く。

「そして、それは貴方のせいだと?そう思ってらっしゃるのですか?」

「いえ…そんな、ことは」

「歯切れの悪い返事ですね。もっとはっきりおっしゃればいいのに。」

責めたてるように、でもどこか微笑んだ表情で言われ、アスランは自分の中の箍が一気に外れる音をどこか人事のように聞いていた。

「…俺がっ!あのときあの人を殺していればミーアは助かった!
俺の甘さが、自分の手で人を殺すことへの躊躇いが、ミーアを…殺したと、そう言わせたいんですか!?」

「いいえ、私はそんなこと思っていませんわ。でも、アスランはそう思いたいのですか?」

「それはっ…!」

「でも、そんなことはミーアさんは望んでいませんし、お止めになったほうがいいのではないでしょうか。」

「…貴方に…一体何が分かるっていうんですか。」

無理やり搾り出したような声音で、血が滲むくらい拳を握り締めながらアスランが言うのに、ラクスは表情1つ変えずに答える。

「少なくとも、今の自虐的な考えしか浮かばない貴方よりはいくらかましかと思いますが。」

ぐっと詰まったように黙るアスランを見て、ラクスは少し同情するような表情を浮かべる。
そしてさらにしたり顔でこう続けた。

「ミーアさんのことは…たしかに可哀相でした。けれど、ここでアスランが挫けてしまったらミーアさんの死に何の意味もなくなってしまいますわ。」


それでは、駄目でしょう?


そう、耳元で小さくラクスは囁く。


「意味が…なくなる?ミーアの、死が?」

「えぇ。このまま貴方の時間が止まってしまえばそうなってしまいます。」

何かに縋るようなアスランの視線にラクスは甘い、しかし毒のような言葉を投げかける。

「ミーアさんの死に囚われてては駄目です、アスラン。いいですね?今は…忘れて下さい。」

「…え?」

「忘れるしか前に進む方法はありませんもの。そうやって私たちは進んでいくのですよ。」


そうすれば、つらくないでしょう?


そう呟かれた瞬間、どこか大切なモノが蝕まれていくような音がした。
思わず肩に掛かっていたラクスの白い手を力任せに振り払う。

「…嫌だ。」

「アスラン?何を…」

急に目つきが変わったアスランにラクスは心底不思議そうな目を向ける。
しかし、アスランはそれに全く怯むことなく真っ直ぐ見据えて答えた。

「ラクス、貴方はそうやって確かに『上手く』生きてきたのかもしれない。けれど、そんな生き方は駄目だ。
大切な人が亡くなるのは確かに悲しいし、死ぬほどつらいけれど…忘れることは駄目です。
自分が傷つくことを恐れては駄目です。忘れるくらいなら自分を傷つけた方がよいと…貴方はそう思いませんか?」


それにラクスは答える術を持たなかった。


「では、失礼します。」

慇懃無礼なほど丁寧にお辞儀をしてアスランはその場を去った。




忘れてなるものか、絶対に。
貴方が生きていた証。










貴方の死を受け入れず、むしろ囚われてあげましょう。



そうすれば、あなたは一生消えないでしょう?








2006年08月10日(Thu)09時46分

[君に囚われて]の続きを読む

壊してしまいたい

2007/04/15 01:03

真夜中に限りなく近い時刻、コツコツと小気味よい足音が廊下から響いてくるのを耳にし、
カガリは一瞬だけ緊張して薄絹の夜具の裾をギュッと握った。
だが、その足音の中に馴染みのリズムを感じた瞬間、心から安堵してその音が止まるのを待ち、自ら扉を開いた。
その顔には先程の強張った表情など欠片もなく、反対に口元に笑みを湛えて。

「お前、こんな時間に通信もなしに来るなよ。」

口調はぶっきらぼうなものだったが、そんなものなど露ほども感じさせないカガリの嬉しそうな顔にアスランも口元を綻ばせた。

「すまない、ちょっと早急に見てほしい書類が出てきたんだ。中に入ってもいいか?」

「あぁ、もちろん。」

気軽に言ってカガリはアスランを部屋に招きいれ、扉を閉じる。

「で?私に見て欲しいことってなんなんだ?」

僅かに開いた窓から吹く優しい風に髪を弄らせながらカガリは聞く。
その風の中には南国の花の香りが含まれており、それは緩やかに2人を包む。

「これだ。」

そう言って差し出されたのはごく薄い書類らしきもので。とても重大なものとは思えないくらいのものだった。
一応手にとってちらりと捲ってみるが、やはり急ぎの書類ではない。

「アス、いや…アレックス。これ別に明日に回しても…」

疑問に思いながら書類から顔を上げかけたカガリだったが、アスランの顔を窺う前に目の前が真っ黒に染まる。
気付いた時にはもうアスランの腕の中にいた。

「…アレックス?」

カガリが控えめに囁くとさらに力を込めて抱きしめられた。
まるでそうしないとカガリが擦り抜けていってしまうかのように。

強く、強く。カガリの身体が軋むほどに。

「アスラン?」

少し苦しかったけれど、怖くはなかった。ただその温もりが愛しくて。
もう1度、ただ優しく名前を呼ぶ。
すると一瞬躊躇したような間の後、アスランは静かに口を開いた。

「あの書類は口実。ただカガリに会いたかっただけだ。」

「こんな真夜中にか?」

くすくす笑いながらそう言うと振動がアスランにも伝わったようで、くすぐったそうにぴったりとくっ付けていた身体を離し、カガリの顔を見つめた。
その瞳はどこか切なさそうに、つらそうに細められている。

「真夜中だから。」

そう言って押し倒した先は柔らかい布地が張られたソファー。
そしてそれは軋むことなく柔軟に2人の体重を受け止める。

「抱いていいか?」

「え…」

あまりにも直球に囁かれた言葉に一瞬息が詰まる。
けれど合った視線は逸らせないままだ。

「なんでそんないきなり…」

言っている内にもみるみる顔が赤くなっていくのが自分でも分かり、さらに恥ずかしくなりながらカガリは言う。
しかしアスランの表情は変わらない。

「駄目、か?」

「駄目じゃない…けど。」

そこまで言って、カガリは気まずさから視線を逸らした。
しかし、それをアスランは許さない。
顎を優しく掴まれ、正面を向かされる。
いつもと変わらない、綺麗すぎるくらい澄んだ翠の瞳。
けれどその中にカガリは僅かだが確かに不安の色が映るのを見た。

「セイランに…なにか言われたか?」

鋭いカガリの指摘にもアスランはうろたえることはなかった。
しかし、その瞳をちらっと逸らしたことではっきりとカガリは確信する。


「大丈夫か?お前。」

溜息と共に吐き出した言葉は重く部屋に響いた。
しかし、それにアスランはわざと軽く答える。

「何がだ?」

「この…馬鹿。」

そう言ってカガリはアスランの肩に顔を埋めた。
なんだか今顔を見られれば泣いてしまいそうだった。

「シて…いいぞ。」

「いいのか?」

「私がしてほしいんだ!」

微かに泣き声じみた声音で言うカガリにアスランは眉根を下げて答える。


「でも壊すかも。」

「…え?」

「カガリを壊すかも。」

一瞬、息が詰まるような間が開く。
だが、しばらくしてカガリはアスランの眼を真っ直ぐ見つめ、言った。

「私は壊れない。」

「あぁ、カガリは強いからな。」

投げやりでもなく、素直にそう答えたアスランにカガリは緩く首を振って答える。

「ううん、違う。」

「じゃあなんだ?」

「アスランは…優しいから。そうする前に自分を壊しそう。だから…壊すなよ。」




そう優しく、微笑むカガリは何もかも包み込むようで。

まるで何かの神聖な女神みたいな顔で笑うものだから。

そんな君を壊したら、確かに撥が当たるとアスランは頭の片隅で笑いながら思った。



「何があってもずっと、傍にいるから」

「あぁ、居てくれ。約束、な」






そこに、決して嘘はなかった。









けれど、この世に真実などありもしないのだ。






2006年05月21日(Sun)23時53分

私は禁忌を犯した

2007/04/15 00:56

私は禁忌を犯しました。


彼を愛してしまったのです。
一度は諦めた温もりを最後まで諦め切れなかったのです。


欲しくて欲しくて、仕方がなかったから。


愛しくて、愛しくて・・・



彼の体温で蕩けたかった。私のすべてを預けてしまいたかった。
しかしそれすら若い私はできなかった。
彼も私もとても不器用だったから。

これが終われば…そう信じて進んできた道。


でも。

彼は逝ってしまった。




もう、いいでしょう?
私はもう十分頑張ったでしょう?


そう呟くと弟はただただ私を抱きしめた。



ねぇ、お願いだから。
どこに落ちても構わないから。



『君と一緒なら、どこでもそこは天国になる』



彼の言葉がふいにどこかで聞こえた気がした。






2006年05月20日(Sat)22時04分

いちごみるく

2007/04/14 18:32

肌に暖く、心地よい風が吹くある昼下がりに。
アスランは机の上の書類と格闘していたはずのカガリの方から何やらカサカサという音がするのを感じ、思わず振り向く。
すると、何か口に含み、幸せそうな顔をしている彼女が見えた。

「カガリ、何食べてるんだ?」

疑問に思って聞くと、彼女は無言でほほ笑み、小さな包みを投げてきた。
緩い曲線を描いて掌に乗っきた物体を見ると、それは薄いピンク色。

「飴?」

「あぁ、さっきもらったんだ!美味いからアスランも食べてみろよ!」

笑顔で言われた恋人の言葉に促され、キャンディーの包みをゆっくりと開ける。
すると薄桃色の三角のキャンデイーが顕わになる。
飴なんて久しぶりだな…
そんなことをぼんやりと思いながらアスランは飴を口に放り込んだ。
甘いが、ほんの少し酸っぱさが交じる苺の味はどこか子供の頃を思い出させる。

「さっきもらったと言っていたが、誰からもらったんだ?メイドか?」

「いや、ユウナだけど?それがどうかし…」

ごほっ!!!!

いきなり盛大に蒸せたアスランにカガリは驚いて駆け寄る。

「大丈夫かっ!?もぅ…何してるんだよ!」

そんな乱暴な言葉とは裏腹にカガリのアスランの背を撫でる手つきは優しかった。
そんなカガリにアスランは涙目になりつつ答える。

「す…すまない;でも…なんでよりによってユウナなんだっ!?」

「えっ?だって別に…ただの飴だろ?」

「何か変なものでも入ってたらどうするんだっ!!」

「変なものってなんなんだよっ!!」

「媚薬とか…」

「びっ…!!///って……何言ってるんだよっ!お前はっ!そんなことばっかり考えてるお前が私は心配だっ~!!」

さてさて…このあとカガリが舐めていた飴がどうなったかは神とアスランのみぞ知る…







2005年11月25日(Fri)00時13分

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。