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第2話 婚約 【中編】

2006/12/29 21:27

「カガリ、ウズミ様が呼んでるよ。話の続きをしようって。」

そう囁かれた声は若く、まだ少年の域を超えてはいないようだ。
少し高めだが、甘くよく通る声とそれに合うどこかかわいらしいその顔は
年頃の娘だけとはいわず、女性すべてを虜にしてしまいそうなものだった。

ふとミリアリアが横を見ると、今にも溶けてしまいそうなしまりのない顔をしたアサギたちの姿が。



(全く……いつも見てる顔じゃない)


ミリアリアが呆れた表情を隠そうともせずに胸の内でそんなことを思っていると、
そんなぽやっとした空気を一気に吹き飛ばす勢いでカガリは半ば叫ぶようにして言った。


「嫌だっ!!私はお父様が私の要求を聞いて下さらない限り…
ここから絶対出ないからなっ!!」

そんなただただ頑ななカガリの態度にキラは薄く微笑み、余裕の表情で答える。

「カガリ、それはいくらなんでも無理じゃあ…
それに、せっかくカガリが威勢のいい声出しても布団の中からじゃあ響かないから全く怖くないよ?」

「うっ、うるさいっ!!冷静に突っ込むな!!」

「全く…ウズミ様の話の途中で逃げ出すなんて。
そんなこと堂々とできるのはカガリくらいだよね。」

そうやって何かを揶揄するように笑うキラは、どこかいつもと様子が違う。
見た目は笑顔を装ってはいるが、本当に笑ってはいない。
そんな表情であった。



…やはり何かあった?

そうミリアリアが思った瞬間、キラは耳を疑うような言葉を発した。

「まぁ…この前まで敵だった『ザフトの王子との婚約を決めた』なんて、
いきなり言われたら仕方ないか。」

「婚約!??!」

何気ない話をするのと同じ調子で言われたキラの言葉に、ミリアリア達は目を見開いて驚く。
慌ててカガリほうを見遣ると、カガリはいつの間にかベッドから抜け出し、キラを睨んでいた。
それはいつもならありえない位の鋭い怒りの視線。

キラはそんなカガリの視線を少しも怯むことなく真正面から受け止め、薄い微笑を崩さない。

2人がしばらくお互いを見詰め合った後、カガリはキラから目線を逸らさぬまま、ミリアリア達に声をかけた。

「…少しの間だけ2人にしてくれ。」

「でも姫様…!」

マユラが言うが、ミリアリアの手に阻まれて黙る。
痛い程の緊張の中、ミリアリアは冷静な口調で言う。

「はい、分かりました。何かありましたらすぐにお呼び下さい。」

「でっ、でも!ミリアリア様!!」

「アサギ、行くわよ。」

有無を言わさないミリアリアの態度にアサギは俯く。

「…はい。」

「それでは失礼致します。ごゆっくり。」

ミリアリアは目を細めてキラを一瞬見た後、扉を閉める。
その手つきはやけに丁寧だった。
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