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第2話 婚約 【後編1】

2006/12/30 18:50




寝室の扉が閉められると、キラは今気付いたかのようにふと視線をドアに移し楽しげに言う。

「カガリの侍女はいつ見ても面白いね。
かわいくて、賢くて、個性的で…勘がとてもいい。好みだな。」

「話を逸らすな、キラ!一体…どういうつもりだ?」

「どういうつもりって?」

おどけた調子のキラにカガリは怒りを募らせながらも口を開く。

「ふざけるなっ!!勝手に私とお父様の話を盗み聞きしておいてっ…!」

「知ってたよ。」

静かに言われた言葉にカガリははっとなる。

「…なんだと?」

「君がザフトの君と婚約する話、実は結構前からあったんだ。」

「それならなんで…!」

「なんでカガリに教えなかったって?ウズミ様や父上に止められていたからだよ。
そんなことも分からないの?馬鹿だな、カガリ。」

嘲笑ともとれる表情で吐き捨てるような声で言うキラにカガリは内心ショックを受ける。
しかしその気持ちを隠し、押し殺した声で言った。

「なんだとっ!?もう1回言ってみろ…」

「何度でも、君が望むなら。」

ふざけたようなキラの返事にカガリは頬に熱が上がってくるのを感じる。
完全になめられているのを感じ、カガリは思わず拳を振り上げてキラの頬目掛けて振り下ろそうとする。

「…っ!ふざけるなっ!!!」

しかし、いくら高く拳を振り上げて怒鳴っても、怒りの表情を向けても、
キラは張り付いたような笑顔を決して崩すことはなく、カガリの手を払いのけようともしない。
手ごたえのないキラを目の前にし、カガリは気が抜けるのを感じた。

ため息をついて額に手を当てる。
目を閉じて少しの間自分の言ったことを思い返す。



少し私も取り乱しすぎたか…


そう反省しつつカガリは目を開け、キラを正面から見つめる。
すると、キラはさっきまでのどこか不快な笑顔は消し、暗い表情をしていた。

こんな表情をキラがすることはとても目面しいので、カガリは目を見開いて驚く。
いつもへらへら笑って(カガリにはそう見える)なんでもそつなくこなし、女の子を誑かしているキラ。
そんな彼がまるで口を閉じた貝のように静かだ。
先程までのキラの行動にカガリは疑問を感じ、いつものとは違い、情けない表情のキラに呆れた顔で問う。
しかし、その声音は限りなく優しいものだった。


「今日のキラおかしいぞ。何かあったのか?」



こんな時でも自分を気遣ってくれるカガリが愛おしくも憎らしい。
混ざる気持ちに心地よさと不快さを感じながらキラはぐらかすように返事を返す。

「何もないけど?それよりカガリ、カガリはなんでこの婚約に反対なの?」

「えっ!な、なんでって…それは!」

「それは?」

どもるカガリを促すように言うキラの目はなぜか不思議に思う程熱が篭っていてカガリは一瞬息を呑む。
なぜこんな目をして自分を見つめるのかさっぱり分からないカガリは内心首を傾げながらも答える。

「私はもうお父様に…いや、人に何もかも決められる人生は嫌なんだ!自由に生きたい。」

そう懇願するように言うカガリの瞳はただただ真っ直ぐで、そしてとても幼かった。
キラはそんなカガリをしばらく見つめると急に笑い出す。
お腹を抱えて小さく笑うキラにカガリは苛ついてくるのを感じ、むくれた顔をする。
そんな彼女は実年齢よりずっと幼く見えた。

「なんだよっ!何か文句でも…」

「カガリは自分が…いや、なんでもない。それより…」

途中まで言いかけてキラは話題を変える。
それは隠し事や中途半端なことが嫌いなカガリには耐えられないことだった。
カガリは思わずキラの腕を掴んで言う。

「なんだよ!言いたいことがあるならはっきりしろ!」

「いいんだ…もう。それより、本当にそれだけなの?」

そう小さく言うキラの目は先程と少し違った。
先程のような熱はなく、どこか諦めたような…そんな表情。
だがそんなキラの表情にカガリは気付かず、キラの腕を軽く揺すり、続きを促す。

「私の問いに答え…!」

言いかけてカガリは口を噤んだ。


否。


噤まなければいけなかった。





なぜなら言いかけた瞬間、目の前の世界が反転したから。





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