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第2話 婚約 【後編2】

2007/01/01 00:41
ベッドが2人分の重みでギシリと重みのある音を立て、ダークレッドのシーツに金の髪が散らばる。
ベッドはキラの少々乱暴な押し付け方にも関わらず、あまり大きな音は鳴らなかった。
だがそれはこの上ない上等なものだからであって、普通なら悲鳴を上げるほどの力。


「キ…ラ?」

そう呟いたカガリの声は細く僅かに部屋に響いた。


突然部屋に現れて。
婚約を断る理由をただ言えとだけ執拗に言って、
私をあざ笑うような顔をしたかと思えば不思議な熱の篭った視線で見つめられて。
しまいには無理やりベッドに押し倒された。

酷いことをする奴。何がしたいのか…さっぱり訳が分からない。


でも


拒絶することはできなかった。
普段なら一発蹴りくらいいれてやる自分だけれども…

でもできない。


だって彼はどこか泣きそうな顔をして顔を歪ませていたから。
カガリを見つめるアメジストが、あまりにも綺麗だったから。




「キラ?」

もう一度、幼い頃から呼び続けていた名前をカガリは呼ぶ。
それは心底不思議そうな、完全な無垢とも言える瞳だった。
自分を男として見ていない、安心しきった目。

それはキラにとって今一番残酷な仕打ちに等しかった。
あまりに真っ直ぐなそれにキラは激しく気が逸れるのを感じる。
だが、それと同時にこの余裕を崩してやりたい凶暴な気持ちに突き動かされ、
目の前の少女の唇に己のそれを近づけた。


「…っ…!キラ!!」

この時になって急に慌てだしたカガリにキラは笑みを浮かべながらさらに唇に近づける。
間が数センチほどとなったとき、キラは初めての感覚に酔いしれ、忘れてしまっていた。

相手がただの少女ではない、カガリだということを。

そしてはそのカガリは小さい頃から護身術を習い、それを極め、
少女とは思えないほどの強さを発揮することを。



「こんの……万年発情男~~~~~っ!!!」


そんな姫の口から出るとは到底思えないような乱暴な言葉と共にカガリはキラの身体を足で蹴り上げた。
わき腹の痛みにキラは気を取られ、僅かに隙ができる。
カガリはその隙を見逃さなかった。




しまった、とキラが思った瞬間、右手でまとめられていたカガリの手はすでに開放され、キラの襟元をしっかりと掴んでいた。
鳩尾を押され、一瞬動けなくなったところを見計らい、
カガリはさっきと反対で、キラの上に馬乗りになる。

勝ち誇った顔をしたカガリを下から見つめながら、キラはどこか安堵していた。

なぜだろう?

自分に問いかけ、気付く。

あぁ。僕はあのままいけば、今まで作り上げてきた2人の16年間の関係を崩すところだったんだ、と。

それが僕は何より怖いのだと。






.




2005.12.3.Saturday 21:59
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