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第3話 金の姫とピンクの妖精のウワサ 【中編】

2007/01/22 18:11
「ラクス嬢とのことは俺が生まれる前から決まっていたことだしな。
それを突然否定されると…戸惑いを隠せないのは確かだ。」

そう言うアスランの目はどこか空虚で、イザークは少し胸が詰まるのを感じる。

「当たり前のようにいつも傍に居てくれた人だったから…いなくなったら、と思うと寂しいな。」

そう寂しそうに呟くアスランは妙に哀愁を帯びており、
それを横目で見ていたメイド達から思わず溜息が毀れる。そして、それは一気に甘ったるい空気で部屋を満たす程のものだった。

急激に変わった部屋の雰囲気にイザークは小さく舌打ちをし、
ディアッカは変な笑いを浮かべてさらにアスラン問うた。

「で?お前が寂しいのは分かったけど、ラクス嬢はどうなんだ?
もう彼女はお前との婚約破棄のことを知っているのか?」

「いや、たぶんまだだろう。」

「だが、俺たちでさえ知っていたんだ。知っている可能性が高くないか?」

「それもそうだな…明日、なんとか時間を見つけて行くよ。」

「そうしろ。ラクス嬢もお前の口から直接聞きたいだろうからな。」


俯き加減で腕を組み、不機嫌な様子のイザークを見てアスランはふと、不思議に思う。

確かにイザークはいつも眉根に皺を寄せて不機嫌な表情を装ってはいるが、それは見せかけのようなものだ。
本当は優しくて面倒見が良いのに、無理に意地を張っているところがある。
長年付き合っていれば分かることなので、まぁそれはいいのだが、今はどこか様子が違った。
不機嫌の中に微かに怒りを感じ取り、アスランは直球に聞いた。

「…イザーク。さっきから思っていたんだが、なにを怒っているんだ?」

急に言われてイザークは内心驚くが、慌てて冷静を装い露骨に顔を顰める。
変なところで敏感なアスランにいらつきそのまま無視してそっぽを向いた。
が、それに全く頓着せず、反対に見つめ返すアスランにディアッカは仕方なさそうに口を開いた。

「まぁな~なにせイザークはラクス嬢の大ファンだったからなぁ。
くやしいんじゃないか?それをスパッと切るお前が。」

「なっ、なっ、何を言っている!!ディアッカ!!俺はそんな…」

親友の口から飛び出た思ってもみなかった言葉にイザークはバネのように反応した。
しかし、そんなイザークの心情も露知らず、2人は流れるように会話を続ける。

「イザークは、ラクスのことが好きだったのか?」

「だから違…!」

「そうそう!酔った席では『理想の女性だ!』なんて豪語してたぞ。」

「確かに…そう言われてみればラクスのコンサートにはいつもイザークがいたような…」

「だろ?そんな追い回す程好きだったんだぜ、きっと。」

そう言ってディアッカは上手そうにグラスの中身を全部飲み干す。
その間もなぜか話す機会を失ったイザークは口をぱくぱくとさせるばかりだ。

「そうなのか…悪かったな、イザーク。お前の気持ちを考えてやらずに…」

見かけだけはさも誤っているかのようなアスランの表情にイザークはついにきれ、机を拳で叩いて叫んだ。

「違うと言っているだろうがぁっっ!!!!俺の話も少しは聞け―――――っ!!!」

「照れるなよ、イザーク。」

「そうそう。俺達には隠さなくていいんだぞ?」

必死で溜めていた怒りを笑って一言で往なされ、イザークは毒を抜かれたようになる。
あまりのあっさりとした対応にらしくないながらもちょっと落ち込んでしまう。
そんなイザークを知ってかしらずか、さらにアスランとディアッカの会話は続く。

「んで?その『宮廷の花の中の花』と讃えられるラクス様を退け、
お前の妃になるようなお方はどんなお人なんだ?」

「随分と皮肉な言い様だな?ディアッカ。」

苦笑を堪えきれない表情のアスランにディアッカは肩を竦めて答える。

「別に。ただ純粋に気になっているだけさ。
アスラン、お前パトリック様にポートレートなり、絵なりもらってないのか?」

「あぁ。もらったぞ。」

どうでも良さげに言うアスランに2人は溜息を吐く。
この『王子様』は有能で頭も良く、格好もそれなりだがこっち方面はとんでもなく疎い。
いや、イザークが言うのもなんだが。

「で!どんな女だった?肉惑的に魅力的な俺好みの女か?それともイザーク好みの清楚な方か?」

気を取り直して興味津々を装い、ディアッカは聞く。

「…!!!」

再び憤怒の表情になりつつあるイザークをちらりと見、アスランは答えた。

「…まだ見ていない。」

「………は?」



しばしの沈黙の後、2人は頭を抱えて同時に言う。


「お前って…本当に…はぁ。」


そんな2人をアスランはただ、不思議そうに見つめ返すだけだった。






2006.2.28.Tuesday 17:55
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