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第4話 足掻き 【中編3】

2007/02/02 18:02

「なんのことだ?」

逃れられないと分かっていてもつい自らの口から出た嘘にカガリは内心溜息を吐いた。
案の定、フレイは「馬鹿にしないで」と口にする。

「何年の付き合いだと思ってるのよ。」

「…10年。」

「そんなこと、わざわざ正直に答えなくてもいいわ。それより…なんで嘘吐いたの?そんなに私が信じられない?」

心なしか寂しそうな目で見つめられ、カガリは必死になってそれを否定した。

「違う!」

いきなり強く響いたカガリの言葉にフレイは一瞬驚いた。

「そうじゃ…ないんだ。」

いつも人の目を真っ直ぐに見て話すカガリが思い切り自分から目を背け、つらそうな表情をしている。
その状況にフレイは少しだけ罪悪感を感じた。
しかし、譲れない事情があるのも事実。

「分かったわ、この際その話はおいておきましょう。私が聞きたいのは1つだけだから。カガリは…キラのことが好き?」

「好き、だぞ?」

あまりにも早い即答にフレイは少し眉を顰めてさらに問う。

「じゃあ男としては?」

「男?」

「そう、男。」

小さい子供に優しく噛み砕いて教えるようにフレイは言った。

「それは…分からない。だって、そういうふうに考えたことはなかったから。」

「じゃあ好きじゃないの?」

畳み掛けるように次々言われる追求の言葉にカガリはむきになったように答えた。

「だっ、だから…分からないって言ってるだろ!?」

そんなカガリにフレイはただただ嘆息した。

「カガリは何もかも分からないのね。今まで、何も見ていなかったわけでもないのに。ただ気付きたくないから目を逸らしているだけなのね。」

「フレイ?」

急に妙に冷たく変わったフレイの態度にカガリは戸惑う。
今まで向けられたことのない、どこか…そう嫉妬が篭ったような視線。

「ねぇ、カガリ、あんたキラの気持ちを考えたことあるの?あの人がこれまでどんな思いであんたを見ていたのか…意識したこと、ある?」

非難じみた目で見つめられ、カガリは息が完全に詰まってしまうのを感じた。

「キラが一体どんな気持ちで……!」



「フレイ」


急にどこからか聞こえてきた男の声に激昂していたフレイの声がぴたりと止まる。
そろそろと視線を移すといつの間に入ってきたのか、扉に手を掛け、悠然と微笑むキラの姿があった。

「キラ…」

些か気まずそうにこの争いの原因の男を見、カガリは呟く。
それにキラは当たり障りのない笑みを浮かべて答える。

「カガリ、国王様がお呼びだよ。今すぐ来るようにって。」

「でも今フレイと大事な話をして…!」

「カガリ、行って。私のことは気にしないでいいから。」

「でも…!」

「いいから、行って。ね?」

張り付いたような笑いを口に浮かべてフレイが言うのに、カガリは何も言う術を持たなかった。

「じゃあ、また後で。必ず、な。」

心の底から名残惜しそうに言うカガリにフレイは一瞬はっとなる。
そして、今度は本当に笑みを浮かべて答える。

「えぇ。待っているから。」

「うん、じゃあ行ってくる。」

そう言って、カガリは扉を閉めた。
フレイの最後の本当の笑みは、いつもと変わらず、とても美しかったけれど。

やっぱりどこか、傷ついた笑みだった。










2006.8.22.16:52 Wednesday
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