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第4話 『足掻き』 【中編4】

2007/04/12 23:39



カガリが部屋を出た後、その足音が完全に遠ざかるのを待ち、キラは口を開いた。

「どういうこと…?」

さっきとうって変わった冷たい底冷えするような声にフレイは小さく身体を震わせる。
こつこつとこちらの方へ近づいてくる靴音だけが部屋に高く響いた。

「ねぇ、一体君は何を言おうとしていたの?フレイ」

青年というより少年のような無邪気な笑みを張り付かせて笑うキラは一見、とても親しみやすく見える。
しかし、その口調はどこまでも重く、冷たいものでフレイはどこかぞっとするのを感じた。
けれど、そんな気持ちを押し殺し、余裕の表情をつくって答える。

「別になんでもないわ。あんたが言えないことを言ってあげただけのことよ。」

「僕は君に『余計なことを言うな』と言った。それをフレイは覚えている?」

「…えぇ。覚えてるわ。だからこそ言ったのよ。」

キラの冷めた視線にむっとし、フレイは強い調子で答えた。

「何…言ってるの。」

少し顔を歪めて、不快そうに言うキラにフレイは思わず熱くなる。

「あんたこそ何してるのよ!!なんでカガリがザフトの王子と結婚だなんて…!」

「国王が決めたことだもの。僕がそれに逆らってどうなるっていうの?それとも…フレイは僕に反逆罪で死ねとでも言う気?」

薄笑いを浮かべて揶揄するように言うキラにフレイはかっとなって叫んだ。

「ふざけないで!!!!!」

それでも尚、感情を表に表さないキラにフレイは重ねて言う。

「あんた、ずっとカガリが好きだったんでしょうっ!?なのにここで諦めるの!?何もせずに…気持ちも伝えもせずに!!」

それでも沈黙を守るキラにフレイは見下すような視線で見つめてさらに言った。

「はっ、何よ。自分の気持ちを知られるのが恐い?拒絶されるのが恐いの?
それとも今の温い関係がお好みなのかしらね。
結局あんたはカガリより自分が大切なのよ。ねぇ、臆病者のキラ様?」

そこまで言われてさすがに頭にきたのか、キラは怒りを露わにして、凄むようにフレイを睨んで言う。

「…うるさい。フレイに、フレイなんかに僕の気持ちが分かるの?」

「分かるわよ!!」

頭ごなしに怒鳴るフレイに反論しようとキラは俯いていた顔を上げる。
すると、静かに涙を流すフレイの顔が見えた。

「私が…何年あんたを、あんた達を、どんな気持ちで見つめてきたと思っ、思って…」

しゃくりあげながらも一生懸命続きを言おうとしているその姿に、キラははっとなる。
そして気付いた瞬間、キラはフレイを抱きしめていた。
思わず抱きしめてしまうほど、それくらい傷ついた表情でフレイは泣いていた。


「ごめん…フレイ、ごめん……」


繰り返し謝るキラに、フレイはただいやいやをするように首を振って答える。
それでも、フレイの泣き声がおさまるまでキラはひたすらごめん、と繰り返した。

しかしフレイにとって、その温もりが何よりの慰めとなっていたことにキラは最後まで気付かなかった。














2006.8.29.Tuesday 23:10
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