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第4話 『足掻き』 【後編2】

2007/04/15 21:48

この結婚はただの『義務』

それがカガリにはとてつもなく重い鎖のような言葉に思われた。






足が、手が、無意識に震える。



「・・分かりました。」

この搾り出したような了承の一言がこのときのカガリにはひどく重く感じられた。
それと同時にこの世界の何もかもが馬鹿馬鹿しく感じられもした。


「そうか。では今日は明日のためにも早く休みなさい。
明日は大事な式典があるのは知っているだろう?」

先程のやり取りが何の意味も無かったかのように平然と明日の予定を述べるウズミにカガリはまた、
体温がぐっと下がるのを感じる。


「…そうですか。では、明日のためにも今日はもう下がらせていただきます。」

「あぁ、そうしなさい。」

目も合わさないで言われる。

「では、失礼致します。」

そう感情のない声音で言ってカガリは扉の方へとその足を進める。
しかし、それは長くは続かなかった。




「…カガリ?」

急に止まってこちらを振り返ったカガリを見、ウズミは不審そうに眉をひそめた。
しかしカガリはウズミの言うことなど全く耳に入っていないかのように玉座の奥の壁に飾ってある宝剣の方にすたすたと向かって行く。
そうしてその剣を手に取り、感触を確かめるような動作をし、そのまま構えるようにして剣の柄をぎゅっと握った。
そして、すらりと鞘から金無垢の剣を取り出すなり、カガリは自分の髪を無造作に引っつかみ、ざっくりと切った。





静寂の中、ただ髪を切る音だけが聞こえる。
ベルベットの深紅の絨毯の上にカガリの金髪がはらはらと落ちてゆく。
その2つの相対する色合いは大変美しかったが、そんなことに目を留めるものは誰もいなかった。



大方全体の髪を切り終えるとカガリは剣を鞘にしまい、臣下の礼をとって言った。



「短髪の姫がいるようでしたら、また声をおかけ下さい。でも…ザフトの国はどうでしょうね、お父様。」




そう言って清清しいとさえ言える笑みを浮かべて、カガリは謁見の間から出て行った。



一度も振り返らず去っていったその背中はとても姫とは思えないくらい逞しく、
ウズミはまるで重病人のような表情でとてつもなく重いため息を吐いた。










2006.10.23.Monday 3:55
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