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君に囚われて

2007/04/21 12:59


いつだって、君は笑ってた。


でも、いつだって君はどこか寂しそうだったんだ。







『君に囚われて』






「アスラン」

呼ばれて、反射的に振り返る。
すると、驚くほど近くにラクスの顔があった。
ミーアにそっくりな顔と声に戸惑いを隠せなくて、アスランは思わず目を背ける。
しかし、それはラクスを傷つける行為だと気付き、アスランは一瞬はっとなる。
が、ラクスは全く気にしていないというように微笑んで続けた。

「やっぱり、おつらいですか?ミーアさんを亡くして。」

そう言って、微笑を浮かべる彼女はまるで天使のようで、悪魔のようでもあった。

「…えぇ。」

長い時間をかけてそう呟く。

「そして、それは貴方のせいだと?そう思ってらっしゃるのですか?」

「いえ…そんな、ことは」

「歯切れの悪い返事ですね。もっとはっきりおっしゃればいいのに。」

責めたてるように、でもどこか微笑んだ表情で言われ、アスランは自分の中の箍が一気に外れる音をどこか人事のように聞いていた。

「…俺がっ!あのときあの人を殺していればミーアは助かった!
俺の甘さが、自分の手で人を殺すことへの躊躇いが、ミーアを…殺したと、そう言わせたいんですか!?」

「いいえ、私はそんなこと思っていませんわ。でも、アスランはそう思いたいのですか?」

「それはっ…!」

「でも、そんなことはミーアさんは望んでいませんし、お止めになったほうがいいのではないでしょうか。」

「…貴方に…一体何が分かるっていうんですか。」

無理やり搾り出したような声音で、血が滲むくらい拳を握り締めながらアスランが言うのに、ラクスは表情1つ変えずに答える。

「少なくとも、今の自虐的な考えしか浮かばない貴方よりはいくらかましかと思いますが。」

ぐっと詰まったように黙るアスランを見て、ラクスは少し同情するような表情を浮かべる。
そしてさらにしたり顔でこう続けた。

「ミーアさんのことは…たしかに可哀相でした。けれど、ここでアスランが挫けてしまったらミーアさんの死に何の意味もなくなってしまいますわ。」


それでは、駄目でしょう?


そう、耳元で小さくラクスは囁く。


「意味が…なくなる?ミーアの、死が?」

「えぇ。このまま貴方の時間が止まってしまえばそうなってしまいます。」

何かに縋るようなアスランの視線にラクスは甘い、しかし毒のような言葉を投げかける。

「ミーアさんの死に囚われてては駄目です、アスラン。いいですね?今は…忘れて下さい。」

「…え?」

「忘れるしか前に進む方法はありませんもの。そうやって私たちは進んでいくのですよ。」


そうすれば、つらくないでしょう?


そう呟かれた瞬間、どこか大切なモノが蝕まれていくような音がした。
思わず肩に掛かっていたラクスの白い手を力任せに振り払う。

「…嫌だ。」

「アスラン?何を…」

急に目つきが変わったアスランにラクスは心底不思議そうな目を向ける。
しかし、アスランはそれに全く怯むことなく真っ直ぐ見据えて答えた。

「ラクス、貴方はそうやって確かに『上手く』生きてきたのかもしれない。けれど、そんな生き方は駄目だ。
大切な人が亡くなるのは確かに悲しいし、死ぬほどつらいけれど…忘れることは駄目です。
自分が傷つくことを恐れては駄目です。忘れるくらいなら自分を傷つけた方がよいと…貴方はそう思いませんか?」


それにラクスは答える術を持たなかった。


「では、失礼します。」

慇懃無礼なほど丁寧にお辞儀をしてアスランはその場を去った。




忘れてなるものか、絶対に。
貴方が生きていた証。










貴方の死を受け入れず、むしろ囚われてあげましょう。



そうすれば、あなたは一生消えないでしょう?








2006年08月10日(Thu)09時46分


<<あとがき>>

これはラクスの弱い部分を出したくて、書いたものでした。

本編中のラクスってなんだか筋の通らない変なこと(むしろ電波?)をいっているのに、なぜか他のキャラはそれに納得して、最終的にラクスの言うとおりになる…という感じだったと思うんです。
それが私は本当に大嫌いで、『ラクス』というキャラ=胡散臭いみたいな図式ができてしまったのですが(笑)

まぁ、それはおいておいて…
ラクスとキラってSEED、特に運命のほうではなんでも二人の言うことが正しくて、二人はどちらも完成された完璧人間のように描かれていたと思うんです。
特にラクス。でもそれは違うんじゃないかと。
そうは言ったって彼女も所詮人間。しかもまだ全然若い小娘ですもんねー
で、そのラクスのおかしいなぁ…って私が思う部分は、死んだ人をすぐ切り捨てて考えることなんです。
確かにそれは戦いの上ではそういう冷たい部分も必要なのかなとも思うのですが、ミーアのときとかどうなんだろうと思ってしまいまして…。

ミーアが亡くなったとき、ラクスは確かに泣いていました。
しかし、その後彼女を思い出したことが一度でもあったのかなーと。

うーん、偉そうなこと言うのはまぁいいんだけど、言うからには自分の言葉に責任もってほしいよなぁ、キラとラクスには。
自分たちの行動でどれだけの人々が傷つき、死んでいったのかちゃんと二人は理解していない気がする。
だから私はキララクが嫌いなんだな、たぶん。(←結論?)





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