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第5話 『最初の嘘、最後の言葉』 【前編】

2007/04/21 13:11
「それにしても…」

色とりどりの薔薇が咲き誇る屋敷まで続く花道を歩きながら、アスランは呆れた表情で呟いた。

「なんでお前たちまでついて来るんだ?」

その美しくも繊細な城の外見から「白亜の城」と呼ばれ親しまれているこの城にラクスは住んでいる。
そこにアスランは今向かっているのだ。
そんな花に溢れた道を歩く中、厳しい格好をした騎士を2人も連れたアスランは確かにどこか不似合いだ。

「まぁまぁそう言うなって!イザークがどうしてもって言うから俺は仕方なくだな…」

「ふんっ!貴様だけだとラクス様の前で何を言うか分からんからな!わざわざこの俺が出向いてやったんだ。」

いつも通りの傲慢なイザークの言いようにアスランは苦笑を浮かべてディアッカを見遣る。
するとディアッカは何もかも心得たように肩を竦めた。

「さぁ、さっさと先に進め。きっと・・待っておられる。」

「あぁ。」



そうして3人は城の中へと足を進めた。







第5話『最初の嘘、最後の言葉』




<<続きは下をクリックして下さい↓>>

「アスラン!」

中に入るなり名を呼ばれ、アスラン達は一斉に声のする方へと目を向ける。
すると、瀟洒な螺旋階段を静々と降りてくるラクスの姿が見えた。
完全に降りるのを待ち、アスランは微笑んで言う。

「お久しぶりです。」

それに倣い、イザークたちも頭を下げる。

「本当にお久しぶりですわ、アスラン。イザークさんたちもお元気でしたか?」

「はい。ラクス様のお綺麗な姿を拝見できて至極光栄でございます。」

「まぁ、ありがとうございます。」

ひだまりのような笑顔と鈴のような涼やかな声にイザークは自然と頬を朱に染める。
それを知ってか知らずか、ラクスは笑顔でさらに続けた。

「この前のコンサートにも来て下さっていましたわね。いつもありがとうございます。
私、凄く嬉しいですわ。」

「い、いいえ!そのような些細なこと…」

「私、イザーク様のことが大好きですわ。」

満面の笑顔で、冗談など微塵も感じさせない様子でほぼ告白に近い言葉を口にしたラクスに
イザークは顔から火が出そうなくらい赤くし、ディアッカは目を剥いて驚く。


一瞬、時が止まったかのようにも見えたこの空間を溶かしたのはアスランだった。


「こら、ミーア。少しやり過ぎだぞ。」

突拍子もないアスランの言葉にディアッカは思わず反応し、らしくもなく取り乱して叫んだ。

「ミーア様!??!」

イザークに至ってはアスランの言葉を聞いた瞬間からすでに完全に放心している。

「え~~?もうばれちゃったの?」

ばれたと分かるなり急に甘ったるい口調で喋り出したミーアは心底残念そうでディアッカは一気に力が抜けるのを感じた。


「お前…いつから分かってたんだ?」

驚きを少しも隠さず聞いてくるディアッカと灰になっているイザークを交互に見遣りながらアスランは朗らかに笑って答える。

「最初から気付いていたさ。ディアッカは分かってなかったのか?」

あまりにも平然と言われ、ディアッカは頭を掻きつつ不平を洩らす。

「こんなに瓜二つなのに…どうやって見分けたんだ?お前。
っていうか…最初からイザークのことからかうつもりでいたのか?」

驚きのあまり敬語を使うことさえ忘れたディアッカにアスランは微笑しながら淡々と答える。

「いや、こんなに上手く嵌るとは思ってなくて…イザーク、悪かったな。」

心のまるで篭っていない謝罪にイザークは今度は屈辱のため顔を真っ赤にさせ、掴みかかろうとする。
しかし、それは場にそぐわないほど朗らかなミーアの笑い声に阻まれた。

「ふふっ、でもイザークさんが見分けられなかったのも仕様がありませんわ。
変装した私とお姉さまを見分けたのはアスランが初めてですもの。
お母様やお父様でさえ時々お間違えになるのに…」

言いながら、どこか寂しそうな表情を浮かべたミーアにアスランは優しく言った。

「ミーアはミーアだろ?」

ふいに頭を撫でながらそう言われ、ミーアは思わず頬をゆるませてはにかんだように笑った。
その裏のない、春が咲いたような笑顔にイザークとディアッカは思わずはっとする。

「この方も…か。」

苦笑とともにディアッカは言うのにイザークはそっぽを向いてむくれて答える。

「ふんっ!たらしめっ!」

「お前ら、何を言ってるんだ?」

ぽやんと言うアスランにディアッカは厭きれた表情を少しも隠さず、イザークは不機嫌な表情のままただ黙ってアスランを見つめた。
そんな不穏な空気を汲み取ったのか、ミーアははっとして慌てて取り繕うような笑顔でイザークの腕に縋りながら言う。

「まぁ!こんな所に足止めさせてしまって本当に申し訳ありません。
イザーク様、ディアッカ様、お部屋まで案内致しますわね。
アスランはどうぞお姉さまのお部屋にいって差し上げて下さい。きっと…」


そこで、一度言葉を切ったミーアの表情をアスランは見ることができなかった。
俯いたミーアの表情が微かに歪んでいたのを見ることができたのは真横にいたイザークだけだった。

「きっと、待っていらっしゃいますわ。」

そう言って笑うミーアは確かに笑っていたけれど。
まだどこか寂しそうだった。


「あぁ、分かった。」


そう言って去っていくアスランは気付かない。

ミーアの気持ちに、





気付かない。









〔訂正〕2006.12.9.Suturday 17:10
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