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第二話 婚約 【前編1】

2006/12/23 12:55
カガリの侍女、ミリアリアの朝は早い。
5時には起きて身支度をし、掃除を始める。
王女宮だけだとはいってもその広さは並大抵のものではない。
皇女宮中の侍女総動員で2時間掛けて掃除をすまし、アサギ達に指示を与え、
それからやっと自分の食事を軽くすます。
その後、カガリの着付け、食事の給仕、話相手などをする。

少しでもカガリ様が不満を感じることがないよう、
快適に過ごせるように働くのがミリアリアたちの仕事だ。
休むまもなく働き、気を配らなければいけないこの仕事は決して楽なものではない。
しかし、そんな苦労を上回るほどの幸せな時間がここにはあった。
それは周りの仲間や先輩や部下、
そして何よりミリアリアがお仕えしている張本人、カガリ様のおかげだった。


普通、王宮の中ともなるとどこか緊張した空気がいつでも漂っているものだ。
厳格さや崇高さ。普通の場所とはどこかとても違う所。

しかし、この皇女宮はそんなことは全くなく、
逆に常にどこからか笑い声が聴こえてくると言われているくらい平和なものだった。

空気は限りなく、ゆっくりと穏やかに流れた。
それはザフトとの戦いが始まっても同じことだった。
そして、その空気を作っている中心にいるのがカガリ様だった。


そんな一風変わったオーブの姫、カガリ様の性格を一言で言い表す言葉は天真爛漫、そして直向。
それがぴったりあてはまるお姫様なんてあまり想像できないだろうとは思うけれど…
これは本当なのだ。

16歳でこんな性格がぴったりという希少価値な私たちの姫はとても素敵な方だ。
『姫』という立場に気取ることは全くなく、何事にも一生懸命取り組む。
それは勉学であったり、剣術や乗馬であったりしたが、どれに対してもカガリ様は常に全力で取り組んでいた。

ひたすら貪欲に学ぼうとする姿勢。
そんなカガリ様の姿を見る度、私たちも頑張ろうと思えた。





でも




あの方が来られた瞬間、あの幸せな日々は終わりを告げたのだ。
ミリアリアは時折、そのことを思い出す。
あの、間違いなく幸福だったあの日々を…。





第2話 『 婚約 』【前編1】



「ここの掃除は終わったからアサギとマユラはベッドのほうをお願いね。」

隣の部屋にも聴こえるような大きいミリアリアの声がカガリの部屋に響く。
その声はいつにも増して張りがあった。

「分かりました!それにしても…まだジュリは帰って来ませんね。
そんなにウズミ様のお話長いのかな~?仕事が山積みなこんな時に…」

のん気なマユラの発言にミリアリアは軽く眉を顰めて咎める。

「何言ってるの!こんな時だからこそ2人分働きなさい!」

「は~い!分かってますよぅ。」

そんなミリアリアの叱責答えたアサギの声は怒られたのに妙に明るい。
これはもう1回鍛えなおした方がいいかな…

ミリアリアが真剣に考え出したその時、


バーンという大きな扉を開く音が部屋中に響いたかと思うと次の瞬間、
ベッドルームの方へと向かう大きな足音のようなものが聞こえ、
それに引き続いてアサギ達の憤慨の声が聞こえてきた。
何事かと思い、ミリアリアは慌ててベッドルームへと急ぐ。
すると…



「あ~もう!何するんですか姫様!
せっかく私達が頑張ってベッドメイキングしたのに~!!」

「そうですよっ!ひどいですっ」

「うるさいっ!とにかく私はここから出ないからなっ!!」

「…姫様…一体何してるんですか?」

ミリアリアが声を上げると、一瞬時が止まったかのように3人の動きが止まる。
するとアサギがミリアリアの方に目を向けたかと思うと、
駆け寄って抗議してきた。

「あっミリアリア様!聞いてくださいよぉ!カガリ様が…」

アサギが指差すその方向を見ると、
布団に包まり、完全な防御体制をとっているカガリの姿があった。
小さい頃からの馴染みの行動とはいえ、
あまりにも子供らしい姫の行動にミリアリアは内心苦笑しながらも優しく問う。

「どうしたんですか?
何かウズミ様に言われました?」

その言葉に一瞬びくっとしたカガリの様子を見て、
3人はまたか、とため息を零した。

「今日は何のことで怒られたんですか?」

「あっ!あれじゃない?
棕櫚の木に登って落ちそうになって大騒ぎになったことがばれたとか!」

「いや…来賓のお客様のご馳走をつまみ食いしたことじゃない?」

「お前ら…人のことなんだと思ってるんだよっ!」

あまりにも遠慮がないアサギの言葉にカガリは思わず布団から真っ赤な顔を出し、怒鳴った。

「だってどれも本当のことじゃないですか~」

「私はそんなことで怒られたりはしないぞ!!」

「もう不毛な争いは止めてください!
だから一体何があったんですか!?」


そうミリアリアが言った瞬間、カガリ顔は沈んだ表情になる。
それは普段のカガリから想像できない程暗い表情だった。
そんなカガリを見て、アサギとマユラも先程とはうって変わった真面目な表情になる。

「何が…あったんですか?」

ミリアリアが再び堅い声で聞くと、カガリは意を決したように口を開きかけた。
その時。



コンコン、とどこかいつもより性急なノックの音が響き、
続いてドアを開ける音がする。
その途端、その人物が来ることを恐れ、カガリはまたベッドの中に潜り込んでしまった。

なんの伺いをたてることもなくこの部屋に入って来られる人はあの方しかいない。

タイミングの悪さにミリアリアは本日何度目かのため息をつきながらもマユラに寝室のドアを開けるように指示をした。

すると、扉を開けた向こうに心配そうな顔のジュリと
予想通り、宰相の息子、キラの姿が見えた。





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